個展を開催するために必要な準備とやるべきこと

 

絵を描き続けていると誰でも
一度は思うことがあります。

「個展をやってみたい!!」

「でも個展なんて美術の勉強を
専門にやっていた人や美大卒業生しか
やっちゃいけないんじゃないの?」

そんなことは、ありません!!

断言します。

なぜなら私も美術を勉強したわけでもないし
美大卒業どころか美大に通ってすら
いないからです!!

子供のころから絵を描くのが好きで
ただ楽しくて描いていたただの独学、
どちらかというと
「人よりもちょっと絵が描ける」というだけです。


独学だけど絵は得意!って人、
けっこういるんじゃないだろうか?

「本当に?美大卒でもないのに
私の絵に興味ある人なんているの?」

「人よりちょっと描けるってだけで
個展なんて恥ずかしい、大袈裟だよ」

「やってみたいとは思うけど、
やり方を知らないし・・・」

でも、やらなければあなたの絵は最終的には
ただのゴミとして処分されてしまいます。

そんなのもったいないと思いませんか?


いわゆる伝統的な画廊と呼ばれるところでの
展示は素人には難しいかもしれませんが
「レンタルギャラリー」と呼ばれるところでは
実際にやってみると意外とできるじゃん!
ってことが分かります。


特に「地元から画家が現れた!!」
となって皆、思いのほか
喜んでくれるんです。


地元の公民館でスペースを借りて
無料で展示、というのもありますが

せっかくなら、素敵なギャラリーで
作品を展示して、販売もしてみましょう。


ということで、
ここでは比較的安価で、やりやすい
ごく一般的なレンタルギャラリーでの
絵の展示会、個展のやり方をご紹介します。

大まかには以下のような感じです。


【展示会前にやること】
  ・展示するための会場、日程を決める
  ・展示告知用のDM(ダイレクトメール)作成
  ・展示するために必要なものをそろえる
  ・作品の梱包をして搬入準備

【展示会場でやること】
  ・搬入
  ・展示会開始
  ・展示会終了
  ・搬出

【展示会期終了後にやること】
  ・お礼状作成


では、順を追って説明しますね。

【展示会前にやること】

搬入日に間に合うように作品を出来るだけ
描きためておくことが大事です。
展示会場を下見してどのくらいの数の
作品があれば見栄えが良くなるか
確認しておくほうが良いでしょう。

初めて展示会場を決める場合に、
展示予定の作品を含めた「ポートフォリオ」
を作成しておくと良いでしょう。

「ポートフォリオ」というのは簡単にいうと
「作品集」のようなもので、交渉の際
展示予定のギャラリーの方に自分の作品が
どんな作風でどのような展示会になるのか
イメージしてもらいやすくするために
必要なものでもあります。

【展示するための会場、日程を決める】

個展をする場合、どこで何日ぐらい
展示をするのかは重要です。

展示は一般的には、1週間の開催が多いです。
(1日単位での貸し出しをしている所もあります)

だいたい1週間(だいたい3万円~数十万円)で、
最大2週間までの貸し出しとなっている
所が多いので自分の希望に応じて
決めると良いでしょう。

同じ1週間でも価格に差があるのは
「立地条件」や「ギャラリーの形態」
などによって必然的に客数の入りが違う、
維持費や人件費を含むというのが
理由と考えられます。

安い方が悪くて高い方が良いとは
一概には言い切れません、
作家とギャラリーの相性次第です。

ギャラリーによりますが、
予約受付は予定展示期間の半年~1年前を
設定している場合が多く

・展示をして
「作品を見てもらうことが目的」か
「販売」が目的か

・会期中に在廊するのか、しないのか

・販売する場合、自分でお金の管理をするのか
ギャラリー側に委託するのか


目的によって最適なギャラリーを選びましょう。

展示スペースだけを貸しだす
「レンタルスペース」

これは
ギャラリー側の人間が会場にはおらず、
作家本人が会期中毎日在廊し、
お客様の対応をするという形態の
ギャラリーです。

販売をする場合は、あらかじめ作家本人が
自分で釣銭などの準備をしておく必要が
あります。

普段仕事をしていたりすると、
搬入搬出期間を含め最低でも一週間以上の
休みを取る必要があるので、
少しハードルの高いギャラリーです。

時間の余裕のある方には
向いていると思いますが、
ある程度販売経験のある方でないと
難しいのでは?と思います。


展示スペースを併設している
「カフェギャラリー」

こちらは、軽食を楽しむカフェスペースと、
展示された作品を楽しむギャラリースペースが
同じ空間、もしくは隣接した空間にある
形態のギャラリーです。

基本的には搬入搬出は作家側でやり、
展示期間中はギャラリー側にお任せすることが
出来る場合もあります(在廊も可)。


一般的に
作品が売れた場合にはギャラリー側が
代わりに受付をしてくれるので
釣銭の準備をする必要も無く、
普段仕事をしている人にとっては
向いているのではないでしょうか。

作品が売れた場合はギャラリー側に
10%~30%の「販売手数料(販売マージン)」
を支払うのが一般的です。


ギャラリーが貸し出している
「レンタルスペース」

こちらは、ギャラリーの中にいくつかの
展示スペースを保有し、スペースごとに
貸し出しをしている形態のギャラリーです。

広さもスペースごとに違ったり、
内装が違ったり
それに伴い料金も違うのでご自身の予算と
イメージに合ったスペースを
選ぶと良いでしょう。

基本的には「カフェギャラリー」と同じです。
在廊しても委託でもOK。数日だけ在廊も可。

同時期にそれぞれのスペースで別の作家による
作品展が開催されているので
できるだけ在廊して他の作家と
交流をしてみると、より多くの学びを
得られるのではと思います

*上記、あくまでも「一般的に」なので例外もあります。各々で契約時にしっかりと確認することをおすすめします。

【展示告知用のDM(ダイレクトメール)作成】

無事に展示会場が決まったら、
展示に来ていただくための宣伝を
しなくてはいけません。

パソコンやプリンターを使って
自分で作成したり、
業者に依頼するという方法もあります。

DM(ダイレクトメール)に
最低限必要な情報は

・展示会のタイトル、展示会の場所、
展示会期と時間、作家名、問い合わせ先、
メインとなる展示作品の写真 

展示会場の周辺地図や外観の写真があると、
初めて会場に来る方も分かりやすいですね。

DMは展示が始まる2週間~1か月前に
親戚や友人知人に配ります。
できるだけたくさんの人に来ていただくために
展示予定のギャラリーに置かせてもらったり、
ご近所やギャラリー周辺のお宅にポスティング
するのも良いのではないでしょうか?

【展示するために必要な道具をそろえる】

キャプション
作品の下にある
「作品名、作家名、制作年、画材」等を
記した紙や板です。
キャプションボードと言ったりもします。

自己流キャプションの作り方はこちら
     ↓↓
【初めての展示とペイントツールで
無理やりキャプションを作った話】
https://ya3ka-22.com/tenji-caption/activity/

ひっつきむし
キャプションを張り付けるための粘着剤

多くのギャラリーでは
展示する壁面や壁紙の保護のため、
両面テープなどを使用したり
ネジやピンで穴をあけることを
禁止している場合があります。

「ひっつきむし」とは、壁紙を傷めずに
何度も貼ったり剥がしたりができる
練り消しのような形状の粘着剤です。
「ひっつきむし 文具」で検索すると
出てきます。


ミニイーゼル
壁に掛けるほどではない
小さいサイズの絵を飾るのにあると便利です。
100均のスマホスタンドでも代用できます。

ギャラリーでは展示用の机や棚を
貸し出してくれることも多いです。
無料のところと、有料のところがあるので
確認してみるのが良いでしょう。


芳名帳・ペン
来ていただいたお客様に、名前と連絡先を
記入していただくためのものです。
展示会に来ていただいたことへの
「お礼状」と次回の展示会開催の
「案内状」を送るために必要です。


会場入り口に飾るポスター
ここで展示をしていますよ、ということを
知らせるためのものです。
迷わずためらわずに展示会場内に
入っていただくために、
これがあると親切ですね。

【作品の梱包】

作品を自分で会場に直接運ぶ場合と、
前もって会場に郵送できる場合とがあります。
これもギャラリーによって違うので
前もって確認しておくのが安心です。

自分で作品を搬入する際も、
大事な作品を傷つけないよう梱包して
まとめておいた方が運びやすいです。

【搬入と準備】

搬入したらいよいよ作品の飾りつけです。
初めての場合はギャラリーの方が
アドバイスをしてくださることもあるので
お願いしてみると良いでしょう。

一度、床に全作品を立てかけてみて、
見栄えを考えながら並べ替えた後
壁に飾っていくとスムーズに
作業が進むと思います。

まれにですが梱包材は会期終了まで
会場に預かっていただける場合もあります、
確認しておきましょう。

【展示会期中】

在廊していると、作品に興味を持ったお客様に、
どんな思いを持って描いたのか?
どういう技法で描いたのか?
どれが一番自信作か?など
質問をされることがあります。

自信をもって答えられるよう
心の準備をしておきましょう。

お客様の中には、あまり話しかけると
嫌がる方もいらっしゃいます。

ゆっくりと鑑賞していただくために、
まずはあいさつ程度にとどめておき、
何か質問があったら話しかけてもらえるよう、
ほんの少し離れた場所にいるように
するのが良いでしょう。

芳名帳に記入を促すことも忘れずに。

【搬出】

展示終了後は速やかに梱包作業を進め、
会場をもとの状態に戻し
間違っても梱包後のゴミなど
置いて行かないように
細心の注意を払いましょう。

【展示終了後にするべきこと】

個展が終わり、だいたい2週間後には
来ていただいた方にお礼状が届くように
準備を進めておきましょう。

作品が売れて、
お客様が郵送を希望されていた場合は
これと合わせて配送をすると良いと思います。


最後に・・・・・
初めて個展をやってみたい!という方にも
手順が分かりやすいよう
可能な限り簡単にまとめてみました。

作品の金額の決め方が分からない
場合もあるかと思いますが、
これはもう作家本人の主観で
自分で決めるしかありません。

ただひとつアドバイスとしては、
作品制作に使用した材料費
(画用紙、キャンバス、絵具、額縁)や

作品制作に要した労力を念頭に入れ、
その他技術料等の合計を下回らないように
設定した方が良いように思います。

それでは
良い展示会になるよう祈ってますね!!